前頭部を押さえて「……。」となるアタシの次に口を開いたのは負け犬男だった。



「で、今回俺が話しに来たのは他でもない。【バトルトーナメント】のことだ」



バトルトーナメント


その言葉にピクリと反応するアタシに負け犬男は気づいてないようだけど、きょうちゃんは横目でアタシのきらきら輝く目を見ている。

そんなあからさまにドン引きすんなってばよ、きょうちゃん。



「あー、今年もまた荒れそうだよねぇ。僕たち風紀委員会も大変だったよ。なんせ去年は………っ、思い出しただけで吐きそうぅ~…」


「そうなのよねぇ…。アツシちゃんが止めてなかったら死人が出るとこだったわぁ」


「去年の面子(メンツ)だけでも荒れそうだってのに……今年は更に荒れそうだ」



そう言ってチラリとアタシを見てくる負け犬男に、アタシはムッと顔をしかめる。



「別にアタシは荒そうなんて思ってないぜ?正々堂々と闘うんだかんなっ!」

「はあ?愁、お前本気で出ようとか思ってんのか?」

「あったり前ー」



いぇーいとダブルピースをきょうちゃんに向けると、きょうちゃんから盛大な溜め息が。



「あのなぁ……【バトルトーナメント】は危険だってさっき教えたろ?まあ危険じゃない部門もそりゃあるけどさ……」


「だったら大丈夫だろ。アタシはそんなヤワじゃねぇから、安心しろって。な?きょーうちゃんっ」

「はぁ………」



ニコニコ笑うアタシに何か言うのは諦めたようで、きょうちゃんはそれ以上何も言ってこなかった。

溜め息はめっさつかれてるけどな。