「ったく……お前、なんちゅー顔してん だよ」 「あ、う……え?」 訳もわからずに、抱き締められたまま、 ボーッと棗を見つめた。 こうすると、やっぱりすごいイケメン… …。 「そんな顔して……襲うぞバカ」 「ふぎっ」 鼻を摘ままれて、可愛くない声をだす私 を、棗が意地悪く笑った。 意地悪なわらいかただけど―――でも。 「笑った……」 思わずそう呟いて、涙がまた、ぼろぼろ と溢れた。 「ちょ、なんでそこで泣く!?」