私も負けないように、ぎゅうっと抱きつ
いた。
「これ……夢じゃねーよな?」
そう言った棗に、クスッと笑う。
「……夢じゃないよ。好き。棗が好き」
そう言うと、棗は少し抱き締める力を緩
めて、私を見つめた。
「もうはなしてなんかやんねー……」
「ん…。離さないで……」
私だってもう、離れたりしないもん。
つまらない意地で、自分の気持ち押し込
めたりしないから。
素直に―――なるから……。
「まあ、俺様に惚れない女なんて、いね
ーけどな」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…