チョコレートを持ちながら二階にかけ上
がり、棗がいつも私にそうするように、
ドアを思い切り開けた。
これで文句言われたって、言い返せるか
らね!
「棗―――」
中に入って、思わず足を止めた。
「……棗?」
棗は疲れていたのか、ベッドに凭れて、
眠っていた。
……何よ、あんたが作ってこいって言っ
たくせに。
棗の側まで近寄って、そっとしゃがみこ
んで、棗の顔を覗きこむ。
相変わらず整った顔。
ながい睫毛。
薄い唇―――……。
―――ドキッ……。
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