東野君、君だけなんだよ、って。 ◆◇◆ バレンタインデー当日。 朝から学校内はなんだか甘いムードが漂 っている。 それもそうだ。 バレンタインデーは、文化祭に次ぐ告白 チャンスなのだから。 皆、純粋に想いを伝えあって、結ばれて 。 なんだかそんな風景が素敵だなあ、と思 えた。 「おはよう、柏木!」 不意に後ろからそう声をかけられて、振 り向けば笑顔の東野君が立っていた。 「おはよう―――……って、それ…」 思わず目についたいく数もの"それ"に、 思わず苦笑いする。