トン……と、棗が両手を私の顔の横につ いたから、余計にドキドキしてしまう。 違う。 ドキドキするんじゃなくて、嫌がらなき ゃいけないのに……っ! 「一緒にお風呂とか入るか?」 何で何も言えないんだろう……。 悪魔のような囁きと微笑みで、私を見下 ろす彼から目を離せずに居る。 "冗談はやめてよ"―――そう笑い飛ばそ うとしてるのに、喉がつっかえて声が出 ない。 「……ぁ…っ」 何も言えず口をパクパクさせる私に、棗 は怪訝そうな顔をして。 それから困ったように眉を潜めた。 「拒絶しろよ」