そういえばお母さんも忠人さんも居ない なあ、なんて思っていると。 「……アホだろ」 そんな声が聞こえてきて、驚きながら振 り向くと、棗が携帯を睨んでいた。 誰からだろ……。 きょとんとする私に気がついた棗は、携 帯を閉じると、私に向かって苦笑いした 。 「親父とお前の母さん、今日は帰って来 られないらしいぜ」 ……え。 「ええぇ!?」 「……うっせーな」 思わず叫ぶと、煩そうに耳を塞いだ棗。 「なんで!?」 「クリスマスデートしてたら、大雪で、 電車が止まったらしい」