「もうすっかり暗くなったな」 不意にそう言われて窓の外を見ると、ず っしりと重たい鉛色の雲が空を覆ってい て。 ん?でも待って……。 「私達、そんなにここに居ないよね?」 さっきの服屋から、まだ二時間くらいし か経ってないし、お昼だってまだなのに 。 そんな私に、棗もやっと異変に気付いた ようだ。 棗は携帯を取り出すと、何かを確認して いて、チッと舌打ちした。 「棗……?」 「春。帰るぞ」 棗はそう言うと、私の腕を掴んで走り出 した。 「ちょっ、棗……!」