怖くなった。 全てを溶かされて、全てを暴かれてしま う、と思った。 忘れたい"想い"でさえも――― 「柏木……好きだよ」 そんな東野君の声を聞きながら、二度目 のキスを交わした。 重なる唇が熱かった。 ―――私の唇が、冷たかったから。 体温が溶け合ってくれなかった。それが すごく悲しかった。 だけど嫌じゃないんだ。……矛盾してる 。わかってる。 ―――知らなかった。 この場面を一番見られたくない―――棗 に見られていただなんて。 知るよしも無かったんだ……。