「……綺麗だな」 「うん……っ」 あまりの美しさ。 その幻想的な光景に。私たちを柔らかく 包む淡い光達に、どうしてだか胸の奥か らなにかがこみあげてきて。 目頭が熱くなって、淡い光達が歪んで光 の海のようになる。 「柏木……」 そう呼ばれて東野君を見上げると、東野 君の指先が私の目へと伸びてきて、涙を 掬った。 少しだけはっきりした視界の中で、東野 君は困ったように笑ってた。 「……んで、ないてんの」 「わかんない……っ」 ただ、感動で。 胸が一杯になった。 だけど苦しくなった。