泣く必要なんてないのに。 私は嫌われるのを願っていた筈なのに。 泣くな……。泣いちゃ、だめ……。 「―――俺、死ぬほど好きな女が居る」 終わりを……告げたんだ。 これでもう何も思い悩む事は無いじゃん 。 なのに……っ。 その時、女の子が泣きながら駆け出して 行った。 その後から続くように、棗も出てきて。 逃げる暇さえなくて、そこに立ち止まっ ていたら、棗が目を見開いて私を見てい た。 「春……」 そんな棗にちょっと薄ら笑いを浮かべて 、棗の横を通りすぎた。 「バイバイ……棗」