……まあ、お約束なんだけど。



「柏木、掴まって」



一足先に、観覧車に乗り込んだ東野君が
差しのべてくれた手のひらに、そっと掴
まる。



―――グイッ



「わっ!」



思いの外強く引っ張られて、そのまま、
すっぽりと東野君の胸のなかに飛び込ん
だ。



東野君は腕のなかの私を見下ろすと、い
たずらっ子のように笑って。



「あはっ。役得だね、俺」



そんな嬉しそうな彼の笑顔と。

想像してたよりも強い力と、逞しい胸板
に男の子だって、実感して。



なんだか恥ずかしくなってくる。




「柏木、座ろ」