【棗side】 「ただいま~」 夜八時。 そういいながら帰ってきた春の前に立ち ふさがると、それに気付いた春が俺をビ ックリしたように見上げた。 「うわっ!ど、どうしたの……?」 きょとんとしてる春を見下ろす。 ……帰り、遅すぎだろ。 俺が帰るときにはもう居なかったし、で も倉沢はいたから、友達と出掛けたって 訳でもないし……。 気になる、が。 「別に……」 「はぁ?……変な棗」 俺はそんな春の声を聞きながら、モヤモ ヤしたままリビングに向かう。