ディナータイムが過ぎて
いよいよ、イベント本番。
打合せ通り、
唯ちゃんに膝をついて、
お出迎え。
エスコートして
車内に乗り込んだものの
二人だけの夜は
なかなか始まらない。
隣同士。
車内で、
会話一つ発せられない。
他の車は上手く、
エスコートやってんだろうなー。
特に十夜さんや
託実さんたちは。
兄貴も……
上手くやれるんだろうな。
沈黙が流れる中、
唯ちゃんは車窓を眺め続ける。
夜の街を走り抜けて、
車は目的地に続く
坂道を登り始める。
ヤバっ。
一言も会話なく、
目的地に着きそうだ。
流石にそれは、
マズイだろう。
深呼吸して
何か一言を発さないと。