傾きはじめた日の下、心地いい風が髪を梳いてくれる。

濡れた毛先が腕に触れて、先輩のお相手を思い出した。


親密そうなふたり。

でも以前見たのとは違う女の人。

先輩、先輩はなぜ、そう次々に誰かを好きになるんですか?

そこでも何か、探してるんですか?


相手の方とはどんなお話をしますか?

先輩がにこっと優しく笑うのを、その方も好きですか?


どんなふうに知りあうんですか?

どんなふうに、始まるんですか?


一緒にどんな時間を過ごしますか?

どんなふうに、先輩は。


相手の方に、触れますか――…?



いきなり手首をつかまれて、ぎょっとした。

声をのみこんで振り返り、そこにあった姿に、改めて悲鳴をあげそうになった。



「B先輩…!」



一瞬、頭の中を読まれたかと動転する。

あんまり強く先輩のことを考えていたから、呼んでしまったんだとめちゃくちゃな考えが浮かび、落ち着け私、と言い聞かせた。

立ちどまると、先輩がほっとしたように手を離す。

口にくわえた煙草からは、細い煙が立ちのぼっていた。



「あの…?」

「ごめんね、その、急いでるとこ」



いえ、とただ走っていただけで急いでいたわけではない私は首を振る。

まだ湿ったTシャツを着たままの先輩は、困ったように微笑むと、ちょっと足元に視線を落として、また私を見た。



「大丈夫?」

「何がですか?」



唐突な質問に思わず尋ね返すと、先輩は少し言いにくそうに間を置き、くわえていた煙草を手に持ち替える。



「さっき、様子が変だったから」