また、あたしに“待っててな”とだけ告げて駐車場へと向かう先生。


あたしの横に車を付けてくれてもうジェスチャーがなくても隣に乗った。


「先生…聞かないの…?」


車が発進してすぐに聞いた。


「何をだ?」


目線は真っ直ぐ前を見て話す先生。


「あたしの両親のこと…」


「綾野。オレは無理矢理聞きだすとか好きじゃないんだよ。言いたくなったらその時聞いてやる。だからそんな顔すんな」


先生は右手でハンドルを持って左手であたしの頭をポンポンしてくれた。


やっぱり魔法のポンポン。


あたしはまた泣いてしまった。


「綾野?泣くなよ。お兄さんとお姉さんにオレが泣かせたと思われるだろ?」


少し焦ったように話す先生。


「だって…先生…優しいからっ…」


涙が止まらない。


「はぁ…困ったな…」


先生は路肩に車を停め溜め息を付いた。