それから水無月さんは伸びをして、いそいそとベッドまで歩み寄ると、無遠慮に寝転がった。
俺はベッドのそばで洗濯物を畳んでいたので、耳元でスプリングの跳ねる音を聞いた。
人のことを考えるとか、そういうことを一瞬でも思わないんだろうなこの人。特に俺のこととかね。知ってる。
「…………」
水無月さんはベッドに寝転がって、ぼんやりとこちらを眺めている。
たぶんすることがないんだと思う。いつものことだろうけど。
今日はテレビもつけていないし、ケータイも鳴らないし。
開け放した窓から入ってくる風は、心地いい温度だし。
「…………」
眠そうだなあ。と。思った。
水無月さんの顔。
「……小野くんってさあ」
不意に水無月さんが口を開いた。
俺は洋服を畳んでいた手を止めて、水無月さんへと顔を向けた。
水無月さんはぼーんやりとした口調で、つぶやく。
「……お母さんみたいだよね」
にへらーと。水無月さんは笑った。


