「とにかく!今日は小野くんその格好のままで飲みに行くのー!」
駄々っ子みたいに、水無月さんは俺の腕を左右に振る。
困った。心底困った。だってこの格好絶対似合ってない。っていうか就活スーツだし。
ということをつらつら脳内で思いつつ、人の腕を掴んで離さない年上社会人の水無月さんに俺は。
「…あの、なんでこの格好のままじゃないとダメなんですか?」
素直に思ったことを聞くと、水無月さんはピタッと動作を止め、当然のような顔で。
「だって小野くんがスーツ着てて、水無月さんもスーツでしょ?会社帰りに一杯飲み行きますか!みたいな感じでいいかなって」
うわーーーすげえどうでもいいーーーーーー。
「俺ちょっと着替えてきますね。」
「なんでさあー!!」
隙をついて帰ろうとしたら一瞬で引き止められた。
水無月さんの謎の瞬発力には圧巻である。
しかしこれでは埒が明かないので、俺はため息まじりに水無月さんを振り返り。
「…会社帰りに一杯飲みに行きたいなら別に俺じゃなくても…」
「小野くんがいいーのー!」
即答された。
即答すぎて最初意味が分からないレベルだった。


