ここにはもう、あたしの過去を知っている人はいないはずなのに。

あの時のあたしから生まれ変わったはずなのに。


こんなにも苦しいよ。


呼吸ってどうするんだろう?

…あぁ、分からない。



ガタン!

茜が急いでいたあまりにぶつかった音が響き渡った。


「何、今の音?」

「もしかして聞かれてた?」


ある一人の女子が近くをキョロキョロと見回す。

けれども人影は見当たらなかった。


「気にしなくていいって」

「…うん」

「それよりアイツ、
ミスコンに出るんでしょ?」

「そうらしいね」


女子たちはすごく嫌そうな顔をしていた。


すると、一人の女子が悪いことを思いついた顔つきに変わり、言うのだった。


「良い考えがあるんだけど
協力してくれない?」

「当たり前じゃん!」

「じゃあ明日にでも
作戦会議しようよ!」

「賛成~!!」


文化祭まであと1週間。


何も起こらないというのは無理かもしれません。


そして、こんなことになるなんて…。


誰も知らずに時だけが過ぎていく。

そして残酷な日が訪れることになるのです。