「…それは…えっと…」


俺は陽平が何かを言おうとしていたのも気にせずに廊下に向かっていった。

もちろん、茜のところに。


「茜!」


そこまで大きな声じゃないのに周りが俺に注目してくる。


「…人前で呼び捨てにしないで。ただでさえ目立つくせに」

「あ、ごめん」

「こんにちは」


挨拶をされて茜の隣に明音ちゃんがいたことを知った。

そして、そこに蒼次とさっきまで言い訳をしようとしていた陽平がやって来た。


美男美女が4人も集まる光景に皆が羨ましそうに眺めていた。


「明音ちゃん。
白鳥女子は関係なくって…」

「ごめん。
気にしなくていいから」


蒼次は勝手に遮り、笑っていた。

そういえば、この5人がちゃんと集まるのは花火以来かもしれない。


「茜のクラスは
文化祭何するか決まった?」

「…なんでもいいでしょ」


相変わらず素っ気ない。


「えっと、
お化け屋敷をするんだよね」


明音は横から庇うのに必死さが隠せていない。


「俺たちのクラスは
執事カフェするんだ。なぁ蒼次」

「あぁ。俺たち
3人とも執事役するんだ」

「…あっそ」

「あ、茜ちゃん、
一緒に遊びに行きたいね」

「…別に」


あれから全く変化しない関係は続いていた。