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昼休みに食堂へ向かう俺たち3人組。

チラチラと人の目はまだ気になって、なかなか慣れない。


「白鳥女子か…」

「陽平、さっきから
それしか呟いてない」

「だってさぁ。
あの白鳥女子だぜ?」

「俺のいとこが
通ってるから誘っとく」

「マジで!?さすが蒼次」


横では全く関係のない話ばかり飛び交っていた。


「それにしても今年は
誰が摂ミスコンに輝くかな?」

「有力候補は
明音ちゃんって聞いたけど」

「そりゃ、そうだろうな」


説明しよう。

摂ミスコンとは摂弥高校のミスコンテストだ。

学校一のキレイでかわいい女の子を決める戦いである。


参加は一応、学年ごとに3人出場する。

この3人も、事前投票で決められるのだ。

その中から、当日のステージでコンテストを行い、たった1人だけが選ばれるのだ。


「明音ちゃんって
去年は2位だったよな」

「そうなんだ。さすが陽平は
そういうことは詳しいよな」


なぜか偉そうに振舞っていた。

けれども俺は気付いていなかった。


「貴之。
さっきからどこ見てる?」

「いや、別に。そういえば陽平って明音ちゃんのことはもう好きじゃないのかなって…」


陽平はギクッとしたのだろうか。

すぐに硬直してしまっていた。