「見え透いた
嘘をつくのはやめて」

「本心だから」


横で明音がボソッと嘘つきと呟いていた。


「私ね、貴之くんのことは好きだけど愛してるまで思っていないよ」

「…意味わかんない」


明音は穏やかに笑って言う。


「好きと愛してるは
やっぱり違うよね」


やっぱり分からなくて、辛くて。


それでも言えること。


「どっちにしても貴之に近づくためにあたしを利用したんでしょ!!」

「茜ちゃん…?」

「好きでも愛していても
どっちでもでいい」

「………」

「ただ、はっきりと
言えばいいじゃない!!!」

「茜ちゃんは
やっぱり素直じゃないね」


クスッって笑う明音にどこかムカついた。


「じっくりと考えてみて。
素直な気持ちを優先してよね」


なにもかも分かってるかのように言う口調にすごくムカついた。


ズキッと脳裏が響く。


『あんたってサイテー』

『死ねばいいのに』


醜い感情が再び心を突き刺しだす。

ふらりと体が傾いた。


『―――茜なんて大嫌いだ』


何も喋らないでよ!!

心の中であたしは叫んだ。