そこへ蒼次たちが袋いっぱいの花火を持って帰ってきた。


すると茜はたった1人で階段を下りていく。

俺はこれ以上、引き止められなかった。


その後は蒼次たちと楽しく花火をした。


広い屋上を走り回ったり、花火を振り回したり。

あっという間に過ぎていく時間。


楽しそうに笑う声、笑う顔。

それでも俺はずっと笑えない。


ただ花火を消耗する花火だけを見つめていた。



茜がいないと、こんなにも寂しい。

モノクロの世界だ。




君が消えたい、
醜くなりたいと思うのは俺のため。


周りのためじゃなくて、
自分自身を守るため。



そうだったんだよね。


君の心の傷は取り返せないまでに奥深いもの。


そして治る可能性はあるのかも分からない。



ただ1つ言えること。


俺には君を救えない。


救いたいけど救えない。



そのことに俺は後になって気付くことになるなんてな。




懐かしい出会ったときの記憶も次々と流れていった…。