AKANE -もう一度、逢いたい-



毎日充満していた部屋の中が苦しい。

音を立てないように布団を口にあてて、こっそりと咳をしたこともあった。


しだいにあたしの日課はママが出掛けたら全ての空気を入れ替えることになっていった。


「ママ?大丈夫?」

「………」


しんどそうなママを気遣って言った言葉も毎日無視される。


でもある日、いつものようにママに同じことを尋ねた。

ママはキッとあたしをにらみつけて言った。


「あんたなんか、いらない!!!
生まなければよかった!!」


当時、小4になっていたあたしの心に大きな傷を残した。


ママのためにこの家からいなくなりたいと最初は思っていた。

で、もまだあたしは自立できない。


だからいつも部屋の片隅で脅えていたんだ。

それから何か気に食わないことがあるとあたしに暴力を振るうことも増えていった。


あざや切り傷は当たり前。

時には食事も与えられない。

こっそりと給食の余りのパンを食べたこともあった。


男が出来て帰って来ないときは、コンビニの賞味期限切れの弁当をこっそりと貰うことまでした。


母親の男に狙われそうになったことだって何度もあった。


言葉にできないことが、どんなに辛かったか。

苦しかったか…。


そんな毎日が繰り返され、1日1日と過ぎていったんだ。


そして、ついに義務教育を終えた。


その瞬間に荷物をまとめて家を飛び出したんだ。


母親は、何も言わなかった。