~10年前~
あたしが6歳の誕生日を迎えた日の夜だった。
楽しい一日の夜は家族でケーキを食べる。
ママはケーキの用意をしてくれた。
パパはビデオカメラをあたしに向ける。
「あかねは
何才になったのかな?」
「6才」
右手だけでは足りずに左手の人差し指を出す。
「将来は何になりたいのかな?」
「おはなやさん」
ビデオの向こう側のパパに笑顔で答えた。
そのあとに、みんなでバースデーソングを歌い、ローソクの火を思いっきり吹き消す。
パパとママがパチパチって拍手と「おめでとう」の言葉をくれた。
「ママとパパからの
プレゼントだよ」
大きな袋に真っ赤なリボンのプレゼント。
中身は大きなくまの人形がだった。
「わぁ、くまさんだぁ。
ありがとう、パパ、ママ!」
幸せの絶頂期に達していたあたし。
嬉しくて嬉しくて仕方がなかったんだ。
「あかね。あとね、
大事なお話があるの」
急に深刻な顔になったパパとママ。
でもそんなこと幼いあたしには気づかなくて。
「なぁに?
まだプレゼントあるの?」
なんて言ってみたりする。

