ここで見る、君との花火。
君が覚えてるとか関係なかった。
ヒューーーー…
ドーーーーーーン!!!!
最後に打ち上げられた花火も儚く散る。
「終わったようだし、
あたしは戻るから」
それまでずっと掴んでいた彼女の腕。
なぜだろう。
離すのが惜しく思えた。
「いい加減、離してくれない?」
「違うんだ。
この後にも花火をするんだ」
笑って俺に話しかける蒼次。
目配せまでしてくれていた。
「マジかよ、貴之。
俺、何も聞いてねぇよ!」
「陽平。それは俺と貴之で
秘密にしてたんだ」
「お、おう…」
蒼次はいいきっかけを作ってくれていたみたいだった。
「でもさ、花火足りないみたいだから買出しに行ってくるよ」
「…あ、あぁ」
「明音ちゃんも
手伝ってくれない?」
「うん、いいよ!」
何も気にせず、着いていく明音ちゃん。
それをみた陽平はすかさずに俺も行くって言い出した。
「貴之、茜。悪いけど
特等席の留守番頼むな!」
去り際に俺の耳でボソッと呟く。
「聞きたいこととか、
いろいろ話しておけよな」
それから手をヒラヒラと振って階段を下りていった。

