「俺、茜を探しに行く。
先に行っててくれ!」

「貴之。居場所分かってるのか?」

「とりあえず、家に行ってみる」

「分かった。俺も探すよ」

「蒼次」

「どうせ、家がどこかも分かってないんだろ?手伝ってやるよ」

「頼む!!」


蒼次はすぐにケータイを取り出して、担任に問い合わせてくれた。


「じゃあ、明音ちゃんは俺と…」

「私も手伝います!」

「え?」

「茜ちゃんと近い将来親友になるから。私も連れて行ってください!」


普通の可愛らしい女の子の気迫はすごい。


何より、横でがっくりした顔の陽平までが仕方なくOKサインを出す。

完璧に振り回されているようだ。


「貴之、場所分かった」

「どこだ!?」

「場所は…」


その居場所を聞いて、びっくりした。


そこは俺も蒼次もよく遊びに行っていたところ。

茜が帰ってきたって聞いて、番始めに探しに来たところ。


公園の近所にある、茜が昔に住んでいたマンション。


「やっぱり、
そこにいたのかよ!」


俺は無我夢中で走り始める。


地図なんていらない。

ちゃんとそのマンションの行き方は脳裏に刻み込まれているから。