「これ、行こうぜ!」
バンッと見せられたのは花火大会だった。
「これって今年から
町会で開催されるものだ」
「そんなのやるんだ」
「うん。費用とか全部、町の商店街とか町長さんが負担してくれるって聞いた」
さすが、蒼次は商店街のパン屋の息子だ。
「とにかく、これに
明音ちゃん誘おうぜ!!」
「そっか。貴之、茜を誘おうよ。もう1人の明音ちゃんも誘ってみんなで行こうよ」
「俺にしては
なかなかの良い考えだろ?」
その俺様は鼻を高くしていた。
でも、これで奥手な俺を助けてくれたのだろう。
本当は明音ちゃんと行きたかっただけかもしれないけど。
「そうと決まれば誘いに行こう!!」
やけに張り切る蒼次もいつもより楽しそうだった。
まだ授業までに時間があると確信した俺らはすぐに行動に移すことにした。
そして隣同士で座る2人に近づいていった。
「茜、おはよう」
「………」
「おはよう。茜ちゃん、挨拶…」
明音ちゃんが申し訳なさそうにこっちをちらっと見た。
俺は大丈夫だというように少し笑った。
「実は、その…」
「2人ともさ、
俺たちと花火大会に行かない?」
「え?」
待ちきれなかったのか横から進んで入ってきた。
突然の言葉に教室中の視線が注がれるのだった。

