AKANE -もう一度、逢いたい-



***


茜が当時そんなことを考えていたなんて知りもしなかった。

茜はきっと自分自身を嫌っているのだろうと憶測はしていた。

原因は何か分からないけれど。

でもここまでとは思いもしなかったんだ。


夏休みに入り、講習も数日が過ぎた。

連日、暑い日ばかりが続く。

部活で真っ黒に染まった肌が証拠だった。


雨なんて全く降りそうにないほどの良い天気。

暑くて死にそうな夏はまだ続く。

そんな今日がまた訪れた。


「貴之。よお!」


後ろから声を掛けてきたのはサッカー部のキャプテンだった。


「おはようございます!」

「今日も暑いな。
誰かそろそろ倒れそうだな」


そんな冗談を言いながら大声で笑う大柄なキャプテン。


「そ、そうっすね…」

「ガハハハハハッ」


やはり声は大きい。

耳が壊れそうだ。


「おはよーございますっ!!」


後ろから挨拶をしたのは蒼次だった。


「もうすぐ、大会っすね」

「もう、そんな時期だな」


少し遠くを眺める先輩はどこか悲しそうに思えた。

八月の終わりあたりから始まる秋季大会。

それは高校で最後の大会だからだ。