こんなにもめんどくさい人は2人目だった。
きっとそんなことを本人に告げてもきっとこう言うに違いない。
「もう一人くらい必要でしょ?」って。
そして、きっと笑うだろう。
優しい笑顔を振りまくように。
どこまでもマイペースでプラス思考。
明るくて優しい女の子。
誰よりもかわいくて、人気者。
その上、天然で…。
どこまでもあたしと正反対。
あたしが持っていないものばかりだ。
持っていないから羨ましいわけじゃない。
悔しいわけじゃない。
ただ隣にいればいられるほど醜い“あたし”
引き立て役にしかないなれない“あたし”
彼女のことは憎くてウザくて仕方がない。
けれど、彼女の隣にいることで、より醜くなれるあたしはどこか居心地が良かった。
消えたいと思う願いは貴之のせいで叶わない。
ひっそり暮らしたいという願いも届かない。
だったら、もっともっと醜くなってしまおう。
誰からも憎まれる、嫌われる存在になれるように。
そうすれば、あたしはたった1人。
この世界で、独りになれるのだから…。

