あたしと明音の移動はここ辺りほぼ毎日一緒だった。
一緒っていっても一方的についてくるのだ。
あまりのしつこさにあたしは諦めた。
一番の理由は1日に明音と貴之の2人を相手にするのはさすがのあたしも疲れるから。
「茜ちゃん。
そろそろアドレス教えて?」
「嫌だ」
「いつも嫌しか言わないね」
「これ以上
関わって欲しくないから」
「えー!!
だって、友だちでしょ?」
「…友だちになるなんて
言った覚えないから」
「そうでした。でも私は
友達だと思ってるからね」
それは本当?
裏に何か隠してるでしょ?
人間、心の奥底にいつもあるのは自分の野望ぐらいに決まっている。
明音がどんなに優しくて親身になってくれていても。
「そうだ。
サッカーの試合観に行こうよ」
「行かない」
「貴之くんや
蒼次くんも出るんだよ?」
「もっと行きたくない」
「…絶対にそう言うと思った」
少しがっかりしているみたいだった。
観たいならあたしじゃなくて誰かと行けばいいのに。
明音なら周りには誰か一緒に行ってくれる人はいるはずだ。
本当にお節介でウザイ。
そんなこと話してるうちに、もう教室に到着していた。
「よ~し、
寝ないように頑張るぞ!」
そして「ねっ!」ってあたしに笑いかけてくるのだった。

