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明音が教室に戻ると、いつも以上に噂話がささやかれていた。


その上、茜ちゃんの周りにはなぜか女子達の大群が押し寄せて話しかけている。


その有り得ない光景に、キョトンとなるしかなかった。


「明音。どこ行ってたの?」

「あぁ、おはよ。
実は…ちょっとね」


私に声を掛けてきたのは、よく話してくれる奈緒ちゃんだ。


ついでに言うと、あのサッカーの試合の日に私を呼びに来た子がこの子である。


「実はね、
ビックニュースなんだ!!!」


周りからの聞いてのオーラがハンパなかった。


「何?」

「昨日から噂の河崎 茜って
貴之くんの幼なじみだって!!」

「あ、そうなんだぁ…」

「なんか反応薄くない?」

「そ、そうかな?」


薄かった理由。

もっとすごい情報を知っちゃったからなのです。


あの2人が『けっこん』の約束を小さな頃にしていたこと。


そして貴之くんは今でも茜ちゃんのことが大好きだってこと。

話したら殺されるけど。


「だから他の女の子たちが河崎 茜と知り合って、あの3人組とお近付きになろうとしてるのよね~」

「…そ、そうなんだ」

「あたしも話に行こう」


それは信じ難いことだった。

なんて身勝手な人達だろう。