「大嫌いだから、嫌われたかった。すぐに忘れて欲しかった」


いつも眩しくて、まっすぐで、素直な彼。


でも、そこが腹立って嫌いだったんだ。


それでも貴之は何度もあたしを追いかけてくれたよね。


「忘れてくれないなら、
醜くなりたかった」


でもあなたは、あたしをかわいいと言ってくれたよね。


諦めずに何度も何度も。


「でも、あなたは
変わらない顔で笑ってくれた」


あなたの優しさ最初は大嫌いだったで、干渉してほしくなかった。


キレイ事ばかり言う彼が信じられなかったんだ。


でも、思い返せば嬉しくて、認めてもらえた気がしたんだ。


汚いことばかり言って傷つけてばかりだったのに、いつも受け止めていてくれた。


今の自分も、過去に自分も受け止めてくれた。


そんな貴之が、気が付けば心も支えになってくれていたんだよ。



気が付けば涙が溢れていた。


この涙も、出ないと思っていたんだ。


でも、今流すことが出来るようになったのも貴之のお陰だったよね。


周囲では、みんなのざわめきが起こり始めていた。


先生たちも止めようとするが、校長が騒がないようにと注意していた。


でも、そんなこと全く気にならなかった。


貴之のことを伝えることでいっぱいいっぱいだったから。


だから、真実を伝えたくて、分かって欲しくて…。


あの日の真実を話すために重い口を開き始めた。