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「ここからは私本人の話になります。しかし皆様にも大事な聞いて欲しい話です」


あたしは壇上ではっきりと告げてしまった。


もう言ってしまったからには引くことはできない。


あたしにどうか力を与えて下さい。


貴之、お願いだから見守ってて。


心の中でもう一度願う。


大きく深呼吸をする。


さっきまで読み上げていた紙をたたむ。


そして大きく深呼吸をして、舞台下にいる学校生徒を見た。


目を反らさずに見ることが、こんなにも恐怖だと知らなかった。


「…あたしには、
幼なじみがいました」


あたしは自分のことを語り始めたんだ。


「幼なじみは明るくて、
サッカーの大好きな人でした」


再会してもずっとサッカーと向き合っていた彼。


窓辺からサッカーの試合を見ているときも、ゴールに一直線の彼だった。


「再会してからも変わらない
笑顔で助けてくれる人でした」


貴之はいつも、どこにいても、あたしを探してくれていた。


あたしは深呼吸をする。


「でも、そんな彼が
あたしは大嫌いでした」


マイクを通して話す本当の気持ちに1つも嘘はない。