明音に手を引かれながら、近づいて行く。
近づく度に、鼓動がドキドキした。
(…蒼次に
何か言われそうだな)
案の定近づくと、蒼次は分かりやすく驚いていた。
蒼次が分かりやすく驚くなんて、余程のことだ。
「あ…えっと…」
驚きを隠せないでいる蒼次の隣の陽平は明らかに頬を赤く染めていた。
二人の様子に笑いをこらえるのに必死だった。
すると、陽平が話し始めた。
「確か…
ミスコンに出てたよね?」
あたしはゆっくりとうなづいた。
「その…
三角関係になった…」
陽平の言葉でそんなこともあったなぁって思い出す。
今から思えば懐かしい話だ。
「かわいいね!」
陽平の突然の言葉に、あたしは言葉を詰まらせた。
このあたしをかわいいと思うなんてありえない。
しかし陽平は正直に言う奴だってことも知っていたんだ。
すると、陽平は続けて変なことを聞いてきた。
「その…
彼氏とかっている?」
また唐突な質問だ。
あたしは再び凍りついてしまった。

