「酷いよ。
茜はかわいいよ」
「お世辞はいいって」
「違うよ!!」
明音は再び、一生懸命に否定する。
そういえば、何度も何度も貴之も言ってくれたよね。
『茜はかわいいよ』って。
あたしが否定し続けても、諦めずに何度も。
『かわいい』
『キレイ』
そんな言葉はあたしに似合わない言葉だ。
だから、ずっと苦手だったんだ。
それでも諦めないで『かわいい』って言い続けてくれたよね。
「じゃあ試しに学校に行こ。
きっと分かるから」
明音はとりあえず学校に行こうと言い出した。
そしてそのまま引っ張られて、学校に向かうことになった。
確かにそろそろ向かわないとヤバい時間だった。
学校に行くまでの道のりも、今までと違った。
変わらない道のりだけど、景色がほんのり明るいんだ。
学校に近づく度に同じ学校の生徒たちがチラチラとこっちを見てくる。
「明音、やっぱり
見られてるんですけど」
「だから茜が
可愛いからでしょ?」
当たり前のようにサラッと答えるけれど、あたしにはさっぱりだった。
そんなことは有り得ない。

