あたしは大きく深呼吸をしてドアを開けた。


ガチャ


ドアを開けると、目の前には明音が立っていた。


「本当の姿で
行くって決めたんだね」


明音の優しい言葉に驚いた。


「…どうして」

「初めから知ってたよ」


明音は笑顔で言うんだ。


「せっかくだから、
もっとおしゃれしよっか」


明音はにっこり笑う。


あたしに向けて、コテとポーチを持って。


あたしは明音を家にあげた。


まだ登校時間までまだ大丈夫だ。


明音はポーチからメイクセットを出す。


そしてコテを温めはじめた。


「せっかくだから
前髪も切ればいいのに」

「…自分で切ったら、
斜めになるから無理」

「じゃあ、切ってあげる」


明音は散髪バサミも取り出した。


そしてあたしは明音の手で変わり始めた。


「ぱっつんでいい?」

「…明音に任せる」


長かった前髪にはさみを入れ始めた。