その時、君の声はさらに強くなったんだ。


『ごめんね…ごめんね…』


君は何度も泣き声で謝っていた。



君は悪くないんだ。


泣く必要はない。


俺は君が無事だっただけで良かったんだ。


振り返ったら、いけないって分かっていたから、こらえるしかなかったんだ。



『大好きだよ…』


茜…茜…茜……


『あなたを…
愛しています……』



茜の言葉が優しくて、あたたかかった。


涙がほろりと流れた。



『あた…あたしを…
守ってくれて…ありがとう…』


その言葉だけで、俺が生きてきた意味が少しだけ分かった気がしたんだ。



俺は茜を少しだけ支え、救えたのかもしれない。


でも最終的には俺の方が救われたに違いないんだ。



“逢いたい”



まだ消えていなかった俺の心が叫びだす。


もう逢えない。


そう分かっていても心は叫び続けるんだ。



“もう一度、逢いたい”