どうして貴之はここにいないのか。


貴之の未来はあたしに比べれば明るい。


けれど全てあたしが握りつぶしてしまったんだ。


あたしが悪かった。


だからこんなことになっているのだろう。


あたしに出来ることならする。


いっそのこと罰を与えて欲しい。


こんな簡単なイジメじゃなく、もっと大きな罰を。


でも貴之が守ってくれたこの命を捨てることはできないんだ。


だから大きな罰を与えて下さい。


そう願わずにはいられなかった。


空が茜色に変わり始めていた。


貴之と再会したのも、こんな空の日だったことを思い出した。


「…もうどうしたらいいのか
分からないよ、貴之…」


するとそこに明音が駆け寄ってきた。


「茜!」


そう言って駆け寄ると、あたしを起こしてくれた。


「とりあえず中に入ろう」

「…うん」


あたしたちは部屋に戻った。


明音はさっさとドアに貼られていた紙をはがしてくれた。


「…そのままにしてていいよ」