外の空気に当たっている茜は、ずっと上を向いて空をながめていた。


「茜…」


私の声は届いていないのだろう。


神様に許してもらうために空を見続けて祈っていた。


「そこは寒いでしょ」


私の言葉にやっと気づいて振り返った茜は寂しそうに言った。


「なんだ、明音か」


茜は私だということに気付いてがっかりしていた。


「しっかりして!」

「しっかりしてるよ」


茜は悲しそうに言う。


どうしていつも悲しい思いをするのは彼女なのだろう。


「あたし
一生懸命に祈ってるんだ」


そう言って再び空を見て祈り始めた。


その後姿が儚くて、今すぐにでも茜自身が消えてしまいそうだと思った。


だから私は茜の肩を揺さぶった。


「しっかりしてよ!苦しいのは分かるけど、一番辛いのは貴之くんだよ」

「…そんなこと分かってる」


私は何も言えなかった。


どんな言葉をかければいいのか分からない。


「あたしのせいで…」

「……そんなことないよ」

「あたしは疫病神だなぁ」


茜は悲しそうにつぶやいた。