バレンタインデーは誰にでも訪れる。


こんなあたしでも気持ちを伝えていい日だっと思ってるんだ。


遅くなってごめんね。


バレンタインの力を借りてでも言いたいの。


あなたが大切だから。



パパーーーーッ!


一瞬だったんだ。


トラックがあたしの方に向かって突っ込んでくる。


スローモーションで突っ込んでくるように思えた。


でも、あたしの体は動けなかったんだ。


怖くて両目をギュッてつぶった。


そしてゆっくりと目を開けると目の前が真っ暗になった。


何が起こったのか分からない。


ただ目の前の景色が全てを物語っていた。


あたしを覆うように守ってくれた人は横たわったまま動かない。


守ってくれた貴之は虫の息だった。


「嫌だ、嫌だよ」


何度も彼を揺する。


本当にこれが現実なの?


「お願いだから、
もう1人にしないで」


蘇る懐かしい記憶。


お父さんと同じ感覚がして、あたしはより一層震えが増した。