「答えはいらないって言われた。でもね、返事はしないとって思ってた」
「そっか」
「…だから断ったの」
「…どうして?」
「茜も知ってるでしょ?
私が貴之くんを想っていたこと」
「……うん」
「私はその気持ちがやっぱり忘れられなかったんだ。だから大切にしないとって思っていたの」
「…そっか」
そうよ。
あの時、あの瞬間はその貴之くんへの恋心が一番だったの。
「こんな話してごめんね」
「いいから話しなよ」
「…うん」
こんな話に付き合ってくれる茜は真剣に耳を傾けてくれていた。
「でもね、聞いて。
今、確かに心が揺れている」
私の涙はパッタリ止まる。
「クリスマスの日。貴之と茜が仲良さそうにしてた。それがほほえましく思えたの」
そう、あのクリスマスの日。
貴之が茜の介抱していた。
その様子を窓越しに見た。
その時、茜と仲良さそうで心から嬉しかった。
「私は、茜のことを大切にする
貴之くんが好きだった」
「………」
「そして茜が優しく微笑んでいたことが何よりも嬉しかったの」
「………」
嫉妬とか醜い気持ちは全くなかった。

