「でもね、クリスマスの時にキツく言われてからずっとグルグル考えてしまうの」

「うん」

「今までは普通の
友だちだと思っていたよ」

「…うん」

「だから恋心を寄せられているなんて思いもしなかったんだ」

「………」

「陽平くんは冗談っぽいけど、好かれているのかもしれないって思ってた。だから出来るだけ知らないふりをしてた」

「じゃあ、
言われた時、驚いた?」

「陽平くんの場合は
急だったからびっくりしたよ」

「蒼次は?」

「貴之くんに振られた後だった。
驚いたってものじゃなかった」


そうだった。


彼は気持ちを今このタイミングで伝える事は卑怯かもしれないってはっきり言っていた。


タイミングに驚いたわけじゃない。


言われた事実が信じられなかった。


「嬉しかった?
…それとも辛かった?」

「…なんとも
言えない気持ちだった」


そう、嘘はない。


今まで普通の友だちで、優しい人だと思っていた。


いつも友だちの力になっている人だと感じていた。


大人で、まっすぐで、しっかりしていて。


いつも冷静な彼はどこか遠くから身構えている印象で。


でもいつも自分のことよりも友だちのことを一番に考える人だった。


だから恋人という選択肢は頭になかったんだ。