何の反応も無い彼女。


ゆっくり覗き込むと茜はぐっすりと寝息を立てて眠っていた。


「…なんだよ」


俺の体に血が昇る。


尋常じゃないくらいに恥ずかしくなった。


星は変わらず輝いている。


少し寒い星空。


しかし俺の体は火照ったまま、なかなか冷めなかった。


隣で安心したように寝付く彼女。


彼女のその表情が、ぬくもりがほっこりして嬉しかったんだ。


君が俺の横にいてくれる事実が嬉しかったんだ。


すると、そこに粉雪が舞い落ちる。


ひらひらと舞う小さな雪。


体に触れるとすぐに消えてしまった。



***


俺はこの時の雪のように2人の関係は呆気なく終わるとは思わなかったんだ。


儚い関係にはもう戻らない。


君の傍で君を見守り続ける。


そう確信して、そう願っていた。


あぁ、今、君のあの時のぬくもりが懐かしい。


けれど、そのぬくもりを二度と実感することはできない。


ぬくもりを思い出すことも出来ないんだ。