***
一方、俺は陽平と2人だけリビングに残された。
俺は、蒼次はどうすればいいのか分からない。
そこにタイミングよくチャイムが鳴った。
ドアを開けると、やはりそこには明音ちゃんが立っていた。
「あ…」
「…とりあえず入れば?」
蒼次はそう言うしかできなかった。
「お邪魔します」
明音ちゃんは近くのソファに座る。
3人の中で重たい空気が流れた。
「…茜は?」
「酒飲んじゃって、
貴之と良い雰囲気なんだ」
「そうですか…」
陽平が悪気なく言った言葉。
蒼次にとっては何も言えなかった。
明音ちゃんは一度、貴之に振られている。
そして彼女が『ごめんなさい』と手紙に書いた理由も貴之が忘れられないからだ。
「…あの」
勇気を振り絞った声で明音ちゃんは話し始める。
俺たちも緊張して、うまく呼吸が出来ない。
「…付き合えません」
彼女の答えはやはり決まっていた。
申し訳ないから手紙にに書いただけだ。

