AKANE -もう一度、逢いたい-




***


一方、俺は陽平と2人だけリビングに残された。


俺は、蒼次はどうすればいいのか分からない。


そこにタイミングよくチャイムが鳴った。


ドアを開けると、やはりそこには明音ちゃんが立っていた。


「あ…」

「…とりあえず入れば?」


蒼次はそう言うしかできなかった。


「お邪魔します」


明音ちゃんは近くのソファに座る。

3人の中で重たい空気が流れた。


「…茜は?」

「酒飲んじゃって、
貴之と良い雰囲気なんだ」

「そうですか…」


陽平が悪気なく言った言葉。

蒼次にとっては何も言えなかった。


明音ちゃんは一度、貴之に振られている。


そして彼女が『ごめんなさい』と手紙に書いた理由も貴之が忘れられないからだ。


「…あの」


勇気を振り絞った声で明音ちゃんは話し始める。


俺たちも緊張して、うまく呼吸が出来ない。


「…付き合えません」


彼女の答えはやはり決まっていた。


申し訳ないから手紙にに書いただけだ。