「頼んだぞ、貴之」
「お、俺…?」
「当たり前だろ」
「こんなにも
頼られてるんだからな」
そして貴之にもたれかかっている茜を見ていた。
俺は仕方なく茜を連れてベランダに出る。
茜は俺にもたれたままで、触れる体温が暖かい。
「………」
嬉しさもあるけれど急すぎて何も言えなかった。
俺たちはベランダに出た。
さすがに冬だから外は寒かった。
俺は茜にコートを肩から羽織らせる。
けれど茜は嫌がって、一層俺に密着してくるのだ。
俺は何も言えなかった。
俺の腕に絡ませて、顔をうずめて。
信じられない光景だ。
「…あ、茜?」
「……んん、なぁに?」
「え、えっと…」
「星、きれい…」
「…そうだね」
俺たちはお互いのぬくもりを感じながら星空を眺める。
2人の体温は上昇するばかりだった。

