「そ、そっか…」

「でも元気そうだからいっか。
またいつでも話せるもんな」


貴之は朗らかな顔をしていた。


あたしは言いたいことがたくさんあったのに、やっぱり何も言えない。


だから何も言わないで、そのまま足を進めようとした。


するといきなり、貴之は言った。


「ずっと守るからな」


背中から言われた言葉。

それは間違いなく、信じられる言葉だった。


でも、あたしはやっぱり素直になれなくって、どうしても思ってもいないことを言ってしまったんだ。


「勝手なこと言わないで」

「………」

「明音と付き合ってるなら、
誰にでも良い顔しないで!」

「…ちゃんと告白は断った」


自然に言われた。

何も言えなくて、戸惑った。


複雑な関係のあたしたち。


あたしのことを嫌いって言ったり、好きって言ったり。


訳が分からないよ。


顔もブサイクで、性格もブスなあたし。


誰にも好かれないことは、あたしの人生で学んだこと。


あんなにも嫌われるようなことを言った。


それでもまだ追いかけるって言うの?


あなたが分からない。


ううん、違うね。


あたし自身が分からないよ。