「何、1人で
難しい顔してんの?」

「ほっといて!!!」


あたしが怒鳴ると、相手はクスクスと笑っていた。


あたしはその相手を見て、驚きを隠せず、名前を呼んでしまった。


「貴之!」

「なんか、
元気っぽいじゃん」


そう言って、人の顔を見て笑ってくる。


失礼な奴だ。


思わず、顔をそむけた。


「ほ、ほっといてよ」

「ほっとけないでしょ?」


そう言って、優しい笑顔で覗き込んでくる。


あたしはなぜか体が熱かった。


「今度は何か用?」

「別に」

「あ、そう」


あたしは思ってもいない返事を返す。


本当はこの前のことのお礼とか言いたい。


それよりも明音との関係とか、いろいろ聞きたくて…。


そう思っているのに何も言えなかった。


「用はないけど…」


あたしは貴之を見る。


「俺を呼んだような
気がしたんだけどなぁ」


あたしはビクッとした。


まさかそんなこと言うなんて思いもしていなかった。