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私はやっと茜ちゃんの家に着いた。
ここまで結構、時間がかかってしまった。
そしてドアの前で何度もドアを叩く。
痛くても叩いた。
ドンドンッ
「茜ちゃん!」
ドンドンドンッ
「茜ちゃん!!」
何度呼びかけても出てきてくれない。
バンバンバンッ
手が痛くなっても諦めずに叩き続けた。
私は、もうぼろぼろに疲れてしまっていた。
「茜ちゃん、
お願いだから出てきて」
それでも返事はない。
しんどくて、その場にしゃがみ込んだ。
でも話すことを止めなかった。
「お願い、試合を観に来てよ。
茜ちゃんじゃなきゃ…」
涙が頬を伝う。
ほかの誰でもない。
茜ちゃんじゃなきゃダメなんだ。
グスッ…
うっ…うっ……
そこに電話がかかってきた。
私は涙声のままその電話に出た。
「…もじもじ?」
『明音?』
「うん…」
『あのね、さっき
点数決められちゃったよ!』
「…分かった。ありがとう」
そう言って、一方的に電話を切った。

