「ゴーーーール!」
審判が合図する。
周囲の歓声も上がっていた。
先制点を決められてしまった。
「くそっ」
俺はユニフォームを強く握りしめた。
そこに蒼次が近づいてきて、背中をバシッと強めに叩かれた。
「蒼次…」
視線がまだ諦めるのは早すぎると訴えてくる。
陽平もどんまいって言って笑っていた。
そうだ。
もっと積極的に周りを信じよう。
さっき蒼次が言っていただろう。
『いつも通りにプレーしろ。フォローしてくれるチームメイトを信じろ』
そうだよ。
今まで何していたんだろう。
今までと変わらないことをここでする。
それが俺が出来る最高のプレーだ。
『たかゆきくんはサッカーしてる時が楽しそうだね』
昔、茜が言ってくれた言葉を思い出す。
それと同時に貴之の顔つきが変わった。
怖そうな顔から楽しそうな無邪気な顔に。
まだまだ俺たちはあきらめない。

